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講演会レポート―国分寺鈴木医院 鈴木徹也院長
「主治医に聞きにくいがん治療」

11月7日(土)14:00より、立川市三多摩労働会館第1会議室にて国分寺鈴木医院院長の鈴木徹也先生をお招き致し「主治医に聞きにくいがん治療」をテーマに講演会を行いました。

今回の講演は前半後半の二部に分けて行われ、第一部はがん治療の基本や、治療方法などについて、第二部ではがん治療中の飲食や栄養摂取などについてご説明されました。

講演概要は、下記の通りです。

◆第一部

*がん治療の基本・発症
  • がんは生活習慣病である。
  • がんは全身の病でもある。
*がん治療の基本・治療
  • 3大療法(手術、抗がん剤、放射線治療)は、対症療法である。そのメリットは、即効性と時間稼ぎ。
  • がん治療の本質は、体内環境の整備である。がんを治せるのは、自分自身だけ。

がん治療における漢方の役割とは

  1. 漢方薬はBRM(Biolgical Response Modifier)=生体応答調整剤である、つまり、漢方薬は本来の弱った力を戻してくれる、生体の自律神経、免疫、内分泌を変化させることの出来る薬剤である。
  2. がんに対する宿主(人間)の自然治癒力を補助し治療効果をもたらす。

サプリメント・漢方等の服用について

最初は多めに服用(3~4ヶ月)し体調の変化を見ながら6ヶ月位で維持量に持っていく。

服用に関する働きの例として

車で例えると、車を動かすエネルギー(燃料)の「ガソリン」と、機能調節のオイル、冷却水などにあたる。
人間だと人の「食事(補助としてサプリメント)」と、生体機能調節(補助としてラドン、ホメオパシー、漢方等)を行う。

栄養摂取に関する「分子整合栄養療法」の役割とは

病気や老化は「細胞の栄養不足」からはじまり、私たちの体は約60兆個の細胞で構成されているほか、体は全て食べ物(栄養)という材料によって構成されている。

病気、炎症、老化は栄養不足が原因である。つまり、
  • 病気=細胞の故障
  • 炎症=細胞が激しく壊れている状態
  • 老化=細胞の衰え、数の減少

従って、至適な量の栄養を摂る事で、病気や炎症の改善、老化を防げる。

また、体の栄養状態を確認するため、血液検査の際にチェックしてほしい項目は以下の通りである。
  1. アルブミン(Alb)→4以上(栄養を運ぶ役割)
  2. ヘモグロビン(Hb)→12以上(吸った酸素を各細胞に運ぶ)

そのほか、食べ物をよく噛んで栄養素の吸収をはかるため、プラークコントロール(歯に付着したプラーク(歯垢)量を減らすこと)が重要である。定期的に歯科医院へ行き歯石などを取ってもらう。病気と闘っている人は特に必要。

◆第二部

  1. 食事療法は、テーラーメイド(患者の個人差に配慮すること)である。
    人間の体はすべて食べたものによって作られている、よって1人1人不足の程度が違う。

    腸内細菌のバランスの維持は、
    • 乳酸菌は乳製品ではなく、発酵食品から摂ろう
    • 植物性乳酸菌は、醤油、味噌、納豆、甘酒、糠漬けがベスト
    • サプリメントを選ぶ場合は、漬物由来など乳成分を含まない植物性乳酸菌がよい
    • グルテン(小麦粉製品)カゼイン(乳製品)を制限する
    • がんの大好物は、急激に血糖値を上昇させる血液を流れるブドウ糖(血糖)であり、アレルギーを誘発し腸粘膜や全身に炎症を引き起こすほか、自律神経が乱れ、心身のバランスが崩れ、免疫力の低下となる。そのほか持続する炎症は、がんの増殖や転移を助長する。
  2. 良い油を摂ること

    良い油は、オメガ3(DHA・EPA)、オリーブオイル、ココナッツオイル、エゴマ油、しそ油、亜麻仁油である。

    悪い油は、トランス脂肪酸(マーガリン、植物油脂、サラダ油)である。

    オメガ3には体内の炎症を抑える効果がある。つまりがんの増殖を抑える。

  3. 食塩は摂らない・塩(天然塩)は摂る

    ミネラル豊富な海水塩や岩塩などの天然塩であれば、過敏に減塩する必要なし。

  4. β-カロテン(ベータ-カロチン)は、油に溶けやすく、水には溶けにくいという性質があるので、効率良く摂るには、油で調理するのがベストである。従って、ニンジンは油で炒めて良く噛んで食べるのが好ましい。また、野菜ジュースが好きな方は、ニンジンではなくキャベツ、ブロッコリー、パセリ、セロリの緑野菜を使うと良い。

講演終了後、参加者による質疑応答を行いました。その内容は、下記の通りです。

Q:私は、パン、うどん、ラーメンなどが大好きなのですが・・・
A:今まで食べていた量の半分以下にすると良いでしょう。
Q:オリーブ油は、50~60℃で使用した方が良いと聞いた事があるのですが?
A:温度は特に気にせず使用して大丈夫です。
Q:友人で1年半も塩を摂らない人がいるのですが、どうなのでしょう?
A:塩分不足は体の冷えや倦怠感を引き起こすので、海水塩や岩塩を摂るようにすると良いでしょう。
Q:水に海水塩を入れて飲んでいますが、良いでしょうか?
A:塩は食事でも摂れるので、水に入れる必要はないでしょう。
p>ご参加された皆様は、日頃「食事療法」に関してかなり勉強をされていらっしゃる方が多いと感じました。
また「がん」という病気の性質上、特に食の大切さ、そして正しい知識を身に付けて病気にならない体作りの重要性を再認識致しました。

今回は、当日参加の方もかなりいらっしゃり、大変熱気に溢れた講演会でした。